10月24日放送「池上彰のニュースそうだったのか!」「新たな世界に突入SP」まとめその5 – シリアで展開するロシアとアメリカの代理戦争

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こちらはその5になります。

前回その4はこちらです。10月24日放送「池上彰のニュースそうだったのか!」「新たな世界に突入SP」まとめその4 – 日本の難民受け入れ政策

最初から読む方は、その1がこちらです。10月24日放送「池上彰のニュースそうだったのか!」「新たな世界に突入SP」まとめその1 – 難民問題理解度チェックとヨーロッパへの難民ルート

その5では、前回までの難民テーマは終了し、シリアで展開されている、ロシアとアメリカの代理戦争についてです。


今シリアはどうなっているか


番組ではまずVTRがありました。

多くの難民を出しているシリア、この国は今「絶望の国」と呼ばれています。

シリア人権監視団によると、国土の半分を「イスラム国」が支配。それ以外の地域はアサド大統領率いる政府軍と、反政府組織、そしてそれ以外のイスラム過激派など入り乱れて戦闘状態。アメリカ軍などがイスラム国を空爆などしてますが、解決の目処は立ってません。

5年近くの内戦による死者は実に25万人(シリア人権監視団による)。命をかけて国外脱出を図るわけです。

被害は人的なものだけではありません。世界遺産のパルミラ遺跡にはあちこちに銃弾の後が残り、ベル神殿は跡形もなく破壊されてしまっています。

http://www.asahi.com/articles/photo/AS20150901005985.html こちらに番組でも使われていた、神殿の破壊前・破壊後の画像がありましたので引用します。

上が破壊前・下が破壊後です。

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古代都市アレッポは火災で廃墟同然に。この都市でなくシリアのいたるところが同様の状態になっています。



ロシアの動き


ロシアの仰天天気予報・・・空爆日和?


ロシア国営放送の天気予報で女性キャスターがシリア作戦をしているロシア空軍について言及。それだけでなく「10月のシリアは飛行(出撃)には絶好の天候です」と発言している様子が番組で紹介。おそロシア。


ロシアの空爆で一般人が犠牲に?


ニュースで有名ですが、9/30にロシアがシリアを空爆。ロシアは「イスラム国」を空爆したと発表していますが、アメリカは「イスラム国」がいないところを空爆していると発表。

Facebookには、シリア・アレッポ郊外の書き込みで、我々は民間人で丸腰だというのに突然ミサイルが落ちてきた、という書き込みが。このようにロシアの攻撃が一般人も巻き添えにしているとの声もあります。

オバマ大統領がロシアを批判


オバマ大統領のコメントです。

「プーチン大統領がなんと言おうと、彼は『イスラム国』と反政府組織を区別していない。彼は『イスラム国』と反政府組織をどちらもテロリストだと考えている。それが惨事を招いていいて私には受け入れられない」

ロシアが巡航ミサイルを発射


そんな声をよそに、ロシアはさらにカスピ海からシリアへ巡航ミサイルを発射しました。

巡航ミサイルとは目標へ向かって高度10メートルほどという低空を飛んで行く誘導ミサイルなのだそう。GPSによりビルなどの間をすり抜けて進みます。低空なのはレーダーに補足されないようにです(レーダーは高度が低いと映りにくくなります)。

以上のように、シリアを舞台に、アメリカとロシアが代理戦争のような、一触即発?という状態にあります。


シリアはなぜこうなったか?


スタジオへ戻り、池上さんはまずシリアの状態の確認。

シリアの人口は2240万人で、そのうち

約400万人が国外へ(難民)
約760万人が国内避難民

半分の人が住む場所を失い、逃げている状態です。


なぜこんなことになっているのか、というと、三つ巴の状態になっているから。

三つの勢力 – アサド政権・反政府派・イスラム国


まずシリアにはアサド政権という政府があります。これは独裁政権です。

そしてそれに対抗して民主化しようという、いわゆるアラブの春を起こそうという人達がいて、これが反政府派。

もともとこの2つの勢力の戦いだったところに、イラクから「イスラム国」がやってきました。これはどちら側に付くでもなく、どちらとも戦います。

まるで三國志の魏呉蜀のような状態ですね。



大国の介入 – アメリカ・ロシア


そしてこれに大国が介入しているという構図。

まずアメリカ。アメリカはイスラム国に対して攻撃。そして反政府派を支援しています。アサド政権が独裁だから許せない。という理由を上げていました。ただしアサド政権に対しての攻撃はしていません。

そしてロシア。ロシアはイスラム国を攻撃すると言っていますが、実態はアサド政権を支援しています。なぜならアサド政権は親ロシアだからです。そして前述したように、反政府派を攻撃しているという疑惑があります。


ロシア(ソ連)の事情として、かつてはイラクなど親ソ連の国が中東には数多くありましたが、現在はシリアのみ。ここまでアメリカに奪われるわけにはいかない!ということでしょう。

これがシリアでアメリカとロシアの代理戦争、人によっては新たな冷戦、とまで表現する状態なのだそうです。


ロシアが巡航ミサイルを発射した理由


ロシアが巡航ミサイルを発射した意図という質問がありました。それについての池上さんの答えは、軍事力のアピールでは?ということでした。巡航ミサイルは本来シリアに対して使うような兵器ではないそうです。

巡航ミサイルは、一言で言えば制空権を確保出来ていない、つまり爆撃機を出撃させた場合に、地上の対空砲火などで撃墜の恐れがある場合に使用するものなのだそうです。これで敵の対空兵器を沈黙させる、ということなのでしょう。

ロシアは軍事力をアピールし、自国の兵器を他国に売りつけたい、という意図もまたある、とのことでした。

さらにこれを打ち込むことで、ウクライナなどロシアに対抗する国に対しての牽制という意味も。

カスピ海の軍艦から巡航ミサイルが発射されているのですが、シリアまで1500km。射程距離は2500kmなのだそうです。つまりカスピ海から2500km圏内はどこでもミサイルを打ち込めるぞ、というわけです。

ちなみにカスピ海からシリアの間にはイランとイラクがあり、当然その領空内を飛ぶわけですが、事前に許可をもらった上で発射したのだそうです。

さらに興味深いことに、この巡航ミサイル発射後、ロシアのプーチン大統領の支持率は90%近くにまで上昇。国民は「強いロシア」「強い指導者」を求めている事がわかります。


まとめ


個人的にはアサド政権が独裁だからアメリカが手を出している、というのはちょっと違うかと思いますね。

チューリップ革命やオレンジ革命など親ソ連・ロシアの政権に対し革命を起こさせて新米政権を打ち立てる、というのがアメリカの常套手段ですから、プラハの春もその中東版というところかと思います。だからこそロシアが警戒しているわけで。

もっとも池上彰さんがこの程度のことを知らないはずが無いですから、テレビ向けに簡単な内容にしたんでしょう。生放送ですから詳しい説明をしたら時間が押してしまいますしね。


その6の内容は3つのテーマの最後、中国の人工島についてになります。



この番組の内容が本になっています。宜しければどうぞ。




photo credit: the souk / souq or bazaar in aleppo, syria, easter 2004 via photopin (license)

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